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バージョン 1.1 からアップグレードする
=====================================

Yii フレームワークは 2.0 のために完全に書き直されたため、バージョン 1.1 と 2.0 の間には数多くの違いがあります。
5
結果として、バージョン 1.1 からのアップグレードは、マイナーバージョン間でのアップグレードのような些細な仕事ではなくなりました。
6
この節では、二つのバージョン間の主要な違いを説明します。
7

8
もし以前に Yii 1.1 を使ったことがなければ、あなたはこの節を飛ばして直接に "[始めよう](start-installation.md)" に進んでも、問題はありません。
9 10

Yii 2.0 は、この要約でカバーされているよりも多くの新機能を導入していることに注意してください。
11 12
決定版ガイド全体を通読して全ての新機能について学習することを強く推奨します。
おそらく、以前は自分自身で開発する必要があったいくつかの機能が、今ではコアコードの一部になっていることに気付くでしょう。
13 14 15 16 17 18 19


インストール
------------

Yii 2.0 は、事実上の標準的 PHP パッケージ管理ソフトである [Composer](https://getcomposer.org/) を全面的に採用しています。
コアフレームワークも、エクステンションも、インストールは Composer を通じて処理されます。
20
[Yii をインストールする](start-installation.md) の節を参照して、Yii 2.0 をインストールする方法を学習してください。
21 22
新しいエクステンションを作成したい場合、または既存の 1.1 エクステンションを 2.0 互換のエクステンションに作り直したい場合は、ガイドの
[エクステンションを作成する](structure-extensions.md#creating-extensions) の節を参照してください。
23 24 25 26 27 28 29


PHP の必要条件
--------------

Yii 2.0 は PHP 5.4 以上を必要とします。PHP 5.4 は、Yii 1.1 によって必要とされていた PHP 5.2 に比べて、非常に大きく改良されています。
この結果として、注意を払うべき言語レベルでの違いが数多くあります。
30
以下は PHP に関する主要な変更点の要約です。
31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45

- [名前空間](http://php.net/manual/ja/language.namespaces.php)
- [無名関数](http://php.net/manual/ja/functions.anonymous.php)
- 配列の短縮構文 `[...要素...]``array(...要素...)` の代りに使われています。
- 短縮形の echo タグ `<?=` がビューファイルに使われています。PHP 5.4 以降は、この形を使っても安全です。
- [SPL のクラスとインタフェイス](http://php.net/manual/ja/book.spl.php)
- [遅延静的束縛(Late Static Bindings)](http://php.net/manual/ja/language.oop5.late-static-bindings.php)
- [日付と時刻](http://php.net/manual/ja/book.datetime.php)
- [トレイト](http://php.net/manual/ja/language.oop5.traits.php)
- [国際化(intl)](http://php.net/manual/ja/book.intl.php)。Yii 2.0 は国際化の機能をサポートするために `intl` PHP 拡張を利用しています。


名前空間
--------

46
Yii 2.0 での最も顕著な変更は名前空間の使用です。
47
ほとんど全てのコアクラスが、例えば、`yii\web\Request` のように名前空間に属します。
48
クラス名に "C" の接頭辞はもう使われません。
49 50 51 52 53 54 55 56 57
命名のスキームはディレクトリ構造に従うようになりました。
例えば、`yii\web\Request` は、対応するクラスファイルが Yii フレームワークフォルダの下の `web/Request.php` であることを示します。

(全てのコアクラスは、Yii のクラスローダのおかげで、そのクラスファイルを明示的にインクルードせずに使うことが出来ます。)


コンポーネントとオブジェクト
----------------------------

58
Yii 2.0 は、1.1 の `CComponent` クラスを二つのクラス、すなわち、[[yii\base\Object]] と [[yii\base\Component]] に分割しました。
59
[[yii\base\Object|Object]] クラスは、ゲッターとセッターを通じて [オブジェクトプロパティ](concept-properties.md) を定義することを可能にする、軽量な基底クラスです。
60 61 62
[[yii\base\Component|Component]] クラスは [[yii\base\Object|Object]] からの拡張であり、[イベント](concept-events.md)[ビヘイビア](concept-behaviors.md) をサポートします。

あなたのクラスがイベントやビヘイビアの機能を必要としない場合は、[[yii\base\Object|Object]] を基底クラスとして使うことを考慮すべきです。
63
通常は、基本的なデータ構造を表すクラスに対して、このことが当てはまります。
64 65


66 67
オブジェクトの構成
------------------
68

69 70
[[yii\base\Object|Object]] クラスはオブジェクトを構成するための統一された方法を導入しています。
[[yii\base\Object|Object]] の全ての派生クラスは、コンストラクタが必要な場合には、インスタンスが正しく構成されるように、コンストラクタを以下のようにして宣言しなければなりません。
71 72 73 74 75 76

```php
class MyClass extends \yii\base\Object
{
    public function __construct($param1, $param2, $config = [])
    {
77
        // ... 構成情報が適用される前の初期化処理
78 79 80 81 82 83 84 85

        parent::__construct($config);
    }

    public function init()
    {
        parent::init();

86
        // ... 構成情報が適用された後の初期化処理
87 88 89 90
    }
}
```

91 92 93
上記のように、コンストラクタは最後のパラメータとして構成情報の配列を取らなければなりません。
構成情報の配列に含まれる「名前-値」のペアが、コンストラクタの最後でプロパティを構成します。
[[yii\base\Object::init()|init()]] メソッドをオーバーライドして、構成情報が適用された後に行うべき初期化処理を行うことが出来ます。
94

95
この規約に従うことによって、新しいオブジェクトを生成して構成するときに、構成情報配列を使うことが出来るようになります。
96 97 98 99 100 101 102 103 104

```php
$object = Yii::createObject([
    'class' => 'MyClass',
    'property1' => 'abc',
    'property2' => 'cde',
], [$param1, $param2]);
```

105
構成情報に関する詳細は、[オブジェクトの構成情報](concept-configurations.md) の節で見ることが出来ます。
106 107 108 109 110


イベント
--------

111
Yii 1 では、イベントは `on` メソッド (例えば、`onBeforeSave`) を定義することによって作成されました。
112
Yii 2 では、どのようなイベント名でも使うことが出来るようになりました。
113
[[yii\base\Component::trigger()|trigger()]] メソッドを呼んでイベントを発生させます。
114 115 116 117 118 119

```php
$event = new \yii\base\Event;
$component->trigger($eventName, $event);
```

120
イベントにハンドラをアタッチするためには、[[yii\base\Component::on()|on()]] メソッドを使います。
121 122 123

```php
$component->on($eventName, $handler);
124
// ハンドラをデタッチするためには、以下のようにします。
125 126 127
// $component->off($eventName, $handler);
```

128
イベントの機能には数多くの改良がなされました。詳細は [イベント](concept-events.md) の節を参照してください。
129 130 131 132 133 134


パスエイリアス
--------------

Yii 2.0 は、パスエイリアスの使用を、ファイル/ディレクトリのパスと URL の両方に広げました。
135
また、Yii 2.0 では、通常のファイル/ディレクトリのパスや URL と区別するために、エイリアス名は `@` という文字で始まることが要求されるようになりました。
136 137 138 139 140
例えば、`@yii` というエイリアスは Yii のインストールディレクトリを指します。
パスエイリアスは Yii のコアコードのほとんどの場所でサポートされています。
例えば [[yii\caching\FileCache::cachePath]] はパスエイリアスと通常のディレクトリパスの両方を受け取ることが出来ます。

パスエイリアスは、また、クラスの名前空間とも密接に関係しています。
141
ルートの名前空間に対しては、それぞれ、パスエイリアスを定義することが推奨されます。
142
そうすれば、余計な構成をしなくても、Yii のクラスオートローダを使うことが出来るようになります。
143 144 145
例えば、`@yii` が Yii のインストールディレクトリを指しているので、`yii\web\Request` というようなクラスをオートロードすることが出来る訳です。
サードパーティのライブラリ、例えば Zend フレームワークなどを使う場合にも、そのフレームワークのインストールディレクトリを指す `@Zend` というパスエイリアスを定義することが出来ます。
一旦そうしてしまえば、その Zend フレームワークのライブラリ内のどんなクラスでも、Yii からオートロードすることが出来るようになります。
146

Nobuo Kihara committed
147
パスエイリアスに関する詳細は [エイリアス](concept-aliases.md) の節を参照してください。
148 149 150 151 152


ビュー
------

153
Yii 2 のビューについての最も顕著な変更は、ビューの中の `$this` という特殊な変数が現在のコントローラやウィジェットを指すものではなくなった、ということです。
154 155
今や `$this` は 2.0 で新しく導入された概念である *ビュー* オブジェクトを指します。
*ビュー* オブジェクトは [[yii\web\View]] という型であり、MVC パターンのビューの部分を表すものです。
156 157
ビューにおいてコントローラやウィジェットにアクセスしたい場合は、`$this->context` を使うことが出来ます。

158 159 160 161
パーシャルビューを別のビューの中でレンダリングするためには、`$this->renderPartial()` ではなく、`$this->render()` を使います。
さらに、`render` の呼び出しは、2.0 では明示的に echo しなくてはなりません。
と言うのは、`render()` メソッドは、レンダリング結果を返すものであり、それを直接に表示するものではないからです。
例えば、
162 163 164 165 166

```php
echo $this->render('_item', ['item' => $item]);
```

167 168
PHP を主たるテンプレート言語として使う以外に、Yii 2.0 は人気のある二つのテンプレートエンジン、Smarty と Twig に対する正式なサポートを備えています。
Prado テンプレートエンジンはもはやサポートされていません。
169
これらのテンプレートエンジンを使うためには、[[yii\base\View::$renderers|View::$renderers]] プロパティをセットして、`view` アプリケーションコンポーネントを構成する必要があります。
170
詳細は [テンプレートエンジン](tutorial-template-engines.md) の節を参照してください。
171 172 173 174 175 176 177


モデル
------

Yii 2.0 は [[yii\base\Model]] を 1.1 における `CModel` と同様な基底モデルとして使います。
`CFormModel` というクラスは完全に廃止されました。
178
Yii 2 では、それの代りに [yii\base\Model]] を拡張して、フォームのモデルクラスを作成すべきです。
179

180
Yii 2.0 は サポートされるシナリオを宣言するための [[yii\base\Model::scenarios()|scenarios()]] という新しいメソッドを導入しました。
181
このメソッドを使って、どのシナリオの下で、ある属性が検証される必要があるか、また、安全とみなされるか否か、などを宣言することが出来ます。
182
例えば、
183 184 185 186 187 188 189 190 191 192 193

```php
public function scenarios()
{
    return [
        'backend' => ['email', 'role'],
        'frontend' => ['email', '!role'],
    ];
}
```

194
上記では二つのシナリオ、すなわち、`backend``frontend` が宣言されています。
195 196
`backend` シナリオでは、`email``role` の属性が両方とも安全であり、一括代入が可能です。
`frontend` シナリオでは、`email` は一括代入が可能ですが、`role` は不可能です。
197
`email``role` は、両方とも、規則を使って検証されなければなりません。
198

199
[[yii\base\Model::rules()|rules()]] メソッドが、Yii 1.1 に引き続き、検証規則を宣言するために使われます。
200 201
[[yii\base\Model::scenarios()|scenarios()]] が導入されたことにより、`unsafe` バリデータが無くなったことに注意してください。

202
ほとんどの場合、すなわち、[[yii\base\Model::rules()|rules()]] メソッドが存在しうるシナリオを完全に指定しており、そして `unsafe` な属性を宣言する必要が無いなら、[[yii\base\Model::scenarios()|scenarios()]] をオーバーライドする必要はありません。
203

204
モデルについての詳細を学習するためには、[モデル](structure-models.md) の節を参照してください。
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コントローラ
------------

Yii 2.0 は [[yii\web\Controller]] を基底のコントローラクラスとして使います。
これは Yii 1.1 における`CController` と同様なクラスです。
[[yii\base\Action]] がアクションクラスの基底クラスです。

214
コントローラに関して、あなたのコードに最も顕著な影響を及ぼす変更点は、コントローラのアクションは表示したいコンテントを、エコーするのでなく、返さなければならなくなった、ということです。
215 216 217 218 219 220 221 222 223 224 225 226 227

```php
public function actionView($id)
{
    $model = \app\models\Post::findOne($id);
    if ($model) {
        return $this->render('view', ['model' => $model]);
    } else {
        throw new \yii\web\NotFoundHttpException;
    }
}
```

228
コントローラに関する詳細については [コントローラ](structure-controllers.md) の節を参照してください。
229 230 231 232 233 234 235 236


ウィジェット
------------

Yii 2.0 は [[yii\base\Widget]] を基底のウィジェットクラスとして使用します。これは Yii 1.1 の `CWidget` と同様なクラスです。

いろんな IDE においてフレームワークに対するより良いサポートを得るために、Yii 2.0 はウィジェットを使うための新しい構文を導入しました。
237
スタティックなメソッド [[yii\base\Widget::begin()|begin()]]、[[yii\base\Widget::end()|end()]]、そして [[yii\base\Widget::widget()|widget()]] が導入されました。以下のようにして使います。
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```php
use yii\widgets\Menu;
use yii\widgets\ActiveForm;

// 表示するためには結果を "echo" しなければならないことに注意
echo Menu::widget(['items' => $items]);

// オブジェクトのプロパティを初期化するための配列を渡す
$form = ActiveForm::begin([
    'options' => ['class' => 'form-horizontal'],
    'fieldConfig' => ['inputOptions' => ['class' => 'input-xlarge']],
]);
... ここにフォームの入力フィールド ...
ActiveForm::end();
```

255
詳細については [ウィジェット](structure-widgets.md) の節を参照してください。
256 257 258 259 260


テーマ
------

261
テーマは 2.0 では完全に違う動作をします。
262
テーマは、ソースのビューファイルパスをテーマのビューファイルパスにマップするパスマッピング機構に基づくものになりました。
263
例えば、あるテーマのパスマップが `['/web/views' => '/web/themes/basic']` である場合、ビューファイル `/web/views/site/index.php` のテーマ版は `/web/themes/basic/site/index.php` になります。
264 265 266 267
この理由により、テーマはどのようなビューファイルに対してでも適用することが出来るようになりました。
コントローラやウィジェットのコンテキストの外で表示されるビューに対してすら、適用できます。

また、`CThemeManager` コンポーネントはもうありません。
268
その代りに、`theme``view` アプリケーションコンポーネントの構成可能なプロパティになりました。
269

270
詳細については [テーマ](output-theming.md) の節を参照してください。
271 272 273 274 275 276


コンソールアプリケーション
--------------------------

コンソールアプリケーションは、ウェブアプリケーションと同じように、コントローラとして組織されるようになりました。
277
1.1 における `CConsoleCommand` と同様に、コンソールコントローラは [[yii\console\Controller]] を拡張したものでなければなりません。
278 279

コンソールコマンドを走らせるためには、`yii <route>` という構文を使います。
280
ここで `<route>` はコントローラのルート (例えば `sitemap/index`) を表します。
281 282 283 284 285
追加の無名の引数は、対応するコントローラのアクションメソッドに引数として渡されます。
一方、名前付きの引数は、[[yii\console\Controller::options()]] での宣言に従って解析されます。

Yii 2.0 はコメントブロックからコマンドのヘルプ情報を自動的に生成する機能をサポートしています。

286
詳細については [コンソールコマンド](tutorial-console.md) の節を参照してください。
287 288 289 290 291 292 293 294


国際化
------

Yii 2.0 は [PECL intl PHP モジュール](http://pecl.php.net/package/intl) に賛同して、内蔵の日付フォーマッタと数字フォーマッタの部品を取り除きました。

メッセージは `i18n` アプリケーションコンポーネント経由で翻訳されるようになりました。
295
このコンポーネントは一連のメッセージソースを管理するもので、メッセージのカテゴリに基づいて異なるメッセージソースを使うことを可能にするものです。
296

297
詳細については [国際化](tutorial-i18n.md) の節を参照してください。
298 299


300 301
アクションフィルタ
------------------
302

303
アクションフィルタはビヘイビアによって実装されるようになりました。
304 305
新しいカスタムフィルタを定義するためには、[[yii\base\ActionFilter]] を拡張します。
フィルタを使うためには、そのフィルタクラスをビヘイビアとしてコントローラにアタッチします。
306
例えば、[[yii\filters\AccessControl]] を使うためには、コントローラに次のコードを書くことになります。
307 308 309 310 311 312 313 314 315 316 317 318 319 320 321

```php
public function behaviors()
{
    return [
        'access' => [
            'class' => 'yii\filters\AccessControl',
            'rules' => [
                ['allow' => true, 'actions' => ['admin'], 'roles' => ['@']],
            ],
        ],
    ];
}
```

322
詳細については [フィルタ](structure-filters.md) の節を参照してください。
323 324 325 326 327 328 329 330


アセット
--------

Yii 2.0 は、*アセットバンドル* と呼ばれる新しい概念を導入しました。これは、Yii 1.1 にあったスクリプトパッケージの概念を置き換えるものです。

アセットバンドルは、あるディレクトリの下に集められた一群のアセットファイル (例えば、JavaScript ファイル、CSS ファイル、イメージファイルなど) です。
331
それぞれのアセットバンドルは [[yii\web\AssetBundle]] を拡張したクラスとして表わされます。
332 333
アセットバンドルを [[yii\web\AssetBundle::register()]] を通じて登録することによって、そのバンドルに含まれるアセットにウェブ経由でアクセスできるようになります。
Yii 1 とは異なり、バンドルを登録したページは、そのバンドルで指定されている JavaScript と CSS ファイルへの参照を自動的に含むようになります。
334

335
詳細については [アセット](structure-assets.md) の節を参照してください。
336 337


338 339
ヘルパ
------
340

341
Yii 2.0 はよく使われるスタティックなヘルパクラスを数多く導入しました。それには以下のものが含まれます。
342 343 344 345 346 347 348

* [[yii\helpers\Html]]
* [[yii\helpers\ArrayHelper]]
* [[yii\helpers\StringHelper]]
* [[yii\helpers\FileHelper]]
* [[yii\helpers\Json]]

349
詳細については、ヘルパの [概要](helper-overview.md) の節を参照してください。
350 351 352 353 354


フォーム
--------

355
Yii 2.0 は [[yii\widgets\ActiveForm]] を使ってフォームを作成する際に使用する *フィールド* の概念を導入しました。
356 357
フィールドは、ラベル、インプット、エラーメッセージ および/または ヒントテキストを含むコンテナです。
フィールドは [[yii\widgets\ActiveField|ActiveField]] のオブジェクトとして表現されます。
358
フィールドを使うことによって、以前よりもすっきりとフォームを作成することが出来るようになりました。
359 360 361 362 363 364

```php
<?php $form = yii\widgets\ActiveForm::begin(); ?>
    <?= $form->field($model, 'username') ?>
    <?= $form->field($model, 'password')->passwordInput() ?>
    <div class="form-group">
365
        <?= Html::submitButton('ログイン') ?>
366 367 368 369
    </div>
<?php yii\widgets\ActiveForm::end(); ?>
```

370
詳細については [フォームを作成する](input-forms.md) の節を参照してください。
371 372 373 374 375


クエリビルダ
------------

376
1.1 においては、クエリの構築が `CDbCommand``CDbCriteria``CDbCommandBuilder` など、いくつかのクラスに散らばっていました。
377 378
Yii 2.0 は DB クエリを [[yii\db\Query|Query]] オブジェクトの形で表現します。
このオブジェクトが舞台裏で [[yii\db\QueryBuilder|QueryBuilder]] の助けを得て SQL 文に変換されます。
379
例えば、
380 381 382 383 384 385 386 387 388 389 390 391

```php
$query = new \yii\db\Query();
$query->select('id, name')
      ->from('user')
      ->limit(10);

$command = $query->createCommand();
$sql = $command->sql;
$rows = $command->queryAll();
```

392
何より良いのは、このようなクエリ構築メソッドが [アクティブレコード](db-active-record.md) を扱う時にも使える、ということです。
393

394
詳細については [クエリビルダ](db-query-builder.md) の節を参照してください。
395 396 397 398 399


アクティブレコード
------------------

400
Yii 2.0 は [アクティブレコード](db-active-record.md) に数多くの変更を導入しました。
401 402 403 404
最も顕著な違いは、クエリの構築方法とリレーショナルクエリの処理の二つです。

1.1 の `CDbCriteria` クラスは Yii 2 では [[yii\db\ActiveQuery]] に置き換えられました。
このクラスは [[yii\db\Query]] を拡張したものであり、従って全てのクエリ構築メソッドを継承します。
405
以下のように、[[yii\db\ActiveRecord::find()]] を呼んでクエリの構築を開始します。
406 407

```php
408
// 全てのアクティブな顧客を読み出し、ID によって並べる
409 410 411 412 413 414
$customers = Customer::find()
    ->where(['status' => $active])
    ->orderBy('id')
    ->all();
```

415
リレーションを宣言するために必要なことは、[[yii\db\ActiveQuery|ActiveQuery]] オブジェクトを返すゲッターメソッドを定義するだけのことです。
416 417
ゲッターによって定義されたプロパティの名前がリレーションの名前を表します。
例えば、以下のコードは `orders` リレーションを宣言するものです
418
(1.1 では `relations()` という一個の中枢でリレーションを宣言しなければなりませんでした)。
419 420 421 422 423 424 425 426 427 428 429 430

```php
class Customer extends \yii\db\ActiveRecord
{
    public function getOrders()
    {
        return $this->hasMany('Order', ['customer_id' => 'id']);
    }
}
```

こうすることで、`$customer->orders` という構文によって関連テーブルにある顧客のオーダにアクセスすることが出来るようになります。
431
また、下記のコードを用いて、カスタマイズしたクエリ条件によるオンザフライのリレーショナルクエリを実行することも出来ます。
432 433 434 435 436 437 438

```php
$orders = $customer->getOrders()->andWhere('status=1')->all();
```

リレーションをイーガーロードするとき、Yii 2.0 は 1.1 とは異なる動きをします。
具体的に言うと、1.1 では JOIN クエリが生成されて、主レコードと関連レコードの両方がセレクトされていました。
439 440
Yii 2.0 では、JOIN を使わずに二つの SQL 文が実行されます。
すなわち、第一の SQL 文が主たるレコードを返し、第二の SQL 文は主レコードのプライマリキーを使うフィルタリングによって関連レコードを返します。
441

442 443
多数のレコードを返すクエリを構築するときは、[[yii\db\ActiveRecord|ActiveRecord]] を返す代りに、[[yii\db\ActiveQuery::asArray()|asArray()]] メソッドをチェインすることが出来ます。
そうすると、クエリ結果は配列として返されることになり、レコードの数が多い場合は、必要な CPU 時間とメモリを著しく削減することが出来ます。
444
例えば、
445 446 447 448 449 450

```php
$customers = Customer::find()->asArray()->all();
```

もう一つの変更点は、属性のデフォルト値を public なプロパティによって定義することは出来なくなった、ということです。
451
デフォルト値を定義する必要がある場合は、アクティブレコードクラスの `init` メソッドの中で設定しなければなりません。
452 453 454 455 456 457 458 459 460 461 462 463 464 465

```php
public function init()
{
    parent::init();
    $this->status = self::STATUS_NEW;
}
```

1.1 では、アクティブレコードクラスのコンストラクタをオーバーライドすることについて、いくつか問題がありました。
バージョン 2.0 では、もう問題はありません。
コンストラクタにパラメータを追加する場合は、[[yii\db\ActiveRecord::instantiate()]] をオーバーライドする必要があるかもしれないことに注意してください。

アクティブレコードについては、他にも多くの変更と機能強化がなされています。
466
詳細については [アクティブレコード](db-active-record.md) の節を参照してください。
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アクティブレコードのビヘイビア
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2.0 では基底のビヘイビアクラス `CActiveRecordBehavior` が廃止されました。
アクティブレコードのビヘイビアを作成したいときは、直接に `yii\base\Behavior` を拡張しなければなりません。
ビヘイビアクラスがオーナーの何らかのイベントに反応する必要がある場合は、以下のように `events()` メソッドをオーバーライドしなければなりません。

```php
namespace app\components;

use yii\db\ActiveRecord;
use yii\base\Behavior;

class MyBehavior extends Behavior
{
    // ...

    public function events()
    {
        return [
            ActiveRecord::EVENT_BEFORE_VALIDATE => 'beforeValidate',
        ];
    }

    public function beforeValidate($event)
    {
        // ...
    }
}
```


User と IdentityInterface
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1.1 の `CWebUser` クラスは [[yii\web\User]] に取って換られました。
そして `CUserIdentity` クラスはもうありません。代りに、使い方がもっと単純な [[yii\web\IdentityInterface]] を実装すべきです。
アドバンストアプリケーションテンプレートがそういう例を提供しています。

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詳細は [認証](security-authentication.md)[権限付与](security-authorization.md)、そして [アドバンストアプリケーションテンプレート](tutorial-advanced-app.md) の節を参照してください。
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URL 管理
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Yii 2 の URL 管理は 1.1 のそれと似たようなものです。
主な機能強化は、URL 管理がオプションのパラメータをサポートするようになったことです。
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例えば、下記のような規則を宣言した場合に、`post/popular``post/1/popular` の両方に合致するようになります。
1.1 では、同じ目的を達成するためには、二つの規則を使う必要がありました。
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```php
[
    'pattern' => 'post/<page:\d+>/<tag>',
    'route' => 'post/index',
    'defaults' => ['page' => 1],
]
```

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詳細については [ルーティングと URL 生成](runtime-routing.md) の節を参照してください。
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Yii 1.1 と 2.x を一緒に使う
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Yii 2.0 と一緒に使いたい Yii 1.1 のレガシーコードを持っている場合は、
534
[サードパーティのコードを扱う](tutorial-yii-integration.md) の節を参照してください。
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